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小学生で親知らずを抜歯!?

 親知らずの抜歯はいつ行うのが良いのでしょうか?もちろん真っ直ぐ綺麗に生えていて、普段から綺麗に磨けているのであれば抜く必要性はないでしょう。しかし、きちんと生えているケースはそう多くはありません。親知らずが斜めや横向きに生えることによって、感染や炎症が起きてしまったり、手前の歯が虫歯や歯周病になってしまったりとさまざまなトラブルを抱えてしまいます。

 多くの場合、成人後に親知らずにトラブルが起きてから抜くことが多いです。しかし、親知らずが生えてからの抜歯はさまざまなデメリットがあります。そのため小学生の高学年から(親知らずが生える前の段階)での抜歯(歯胚抜歯)がおすすめです。

 以下に歯胚抜歯のメリットとデメリットを挙げます。

メリット

・根が未完成かつ骨が柔らかいため侵襲が小さい

・傷が小さく治癒が早い

・萌出後に抜歯するよりも下歯槽神経や隣在歯への損傷リスクが低い

・将来の智歯周囲炎や難抜歯となるリスクをなくせる

・親知らずの歯並びへの悪影響を防ぐことができる

デメリット

・子どもへの外科処置であるため心理的な負担がある

・顎や歯並びの状況によっては将来親知らずが咬み合わせ必要になる場合もある

・顎の発育に影響する可能性がある

・保険診療ではなく自費診療となる(1歯:33,000円)

 さまざまなデメリットはあるもののそれを上回るメリットがあると考えます。成人してからの横向きに生えた親知らずの抜歯で、日常臨床で特に困ってしまうのが、親知らずの手前の7番目の歯の虫歯と歯周病です。親知らずがあることによる7番目の歯の後ろ側の虫歯は、器具も届きにくく治療が困難なこともあります。また親知らず抜歯後に7番目の歯の後ろ側に骨吸収が生じ、難治性の歯周ポケットができてしまうこともあります。単純に抜くだけでは解決できない問題が生じてしまうことがあるのです。また親知らずがあることによって歯並びが悪くなってしまうこともよく遭遇する問題です。他にも親知らずの根が下歯槽神経に近接している場合は神経麻痺のリスクもあります。将来結果として抜くのであれば、小学生の高学年から親知らず抜歯(歯胚抜歯)を考えてみることはメリットが大きいと考えます。

 まずは子どものうちに親知らずを抜くべきかどうか?診査診断から始めてみませんか?

 

 

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