2025年9月7日(日)にインプラテックス本社セミナー室で行われた「低侵襲ソフトティッシュマネジメントハンズオンコース:ガミースマイルの治療、歯槽堤保存術(林丈一郎教授:明海大学歯学部 口腔生物再生医工学講座 歯周病学分野 教授)」に当院の赤嶺と関が参加しました。今回のセミナーでは、臼歯部インプラント周囲炎を防ぐ方法と前歯部インプラントと天然歯の審美のための歯肉への対応について学びました。また豚の下顎骨とピエゾを用いた実習も行いました。
まず臼歯部インプラント周囲炎を防ぐために、臼歯部のインプラントを安定させるための粘膜の条件を学びました。臼歯部のインプラントを安定させるためには適切な厚さのインプラント周囲組織と角化歯肉幅が必要です。インプラント周囲に非可動性の角化歯肉がなく可動性の粘膜であると骨吸収につながる可能性があります。そのため2次手術では、角化歯肉幅によって術式を選択する必要があります。さらにインプラント周囲炎に対する治療についても学びました。通常は歯周疾患治療と同様の治療を行います。そこで安定しない場合は上部構造を外した上で非外科的治療を行います。粘膜の肥厚が認められれば切除型のフラップ手術を選択することもあります。
一般的に歯を抜くと歯を支えていた歯槽骨は吸収していきます。よく患者さんは「歯茎が痩せた」と表現されます。歯茎が痩せてしまうとインプラントを埋入することが難しくなります。それを防ぐ方法が「歯槽堤保存術」です。実際に豚の下顎骨にて、ピエゾを用いて低侵襲抜歯を行い、バイオオスとバイオガイドを使い歯槽堤保存術を行いました。その際に抜歯窩の維持を期待して行う「Hidden X suture」とうい縫合方法は大変勉強になりました。
次に前歯部インプラントと天然歯の審美について学びました。前歯部の審美ではしばしば下部鼓形空隙(ブラックトライアングル)が問題となることがあります。天然歯のブラックトライアングルは外科的に対応することは難しく、矯正治療にて歯根間距離を短くするか、補綴(クラウン、ベニア)やCRでコンタクトポイントを歯肉側によせることで対応する必要があります。特に矯正治療後の歯肉退縮には、CRを用いたコンタクトポイントの根尖側移動と歯根間距離の矮小化による歯肉のクリーピングは大変有効だと感じました。また逆に歯肉が多く見えるガミースマイル(受動的萌出遅延)への対応も学びました。補綴を行う前提であれば従来通りフラップを開き骨削除を伴う歯肉弁根尖側移動術でも良いかもしれませんが、天然歯の場合はフラップを開くこと自体が審美的なリスクに繋がります。そこで天然歯に対してはピエゾを用いたフラップレスの歯冠長延長術が有効と考えられます。フラップを開くことなく選択的に歯槽骨を整形します。その後歯根膜細胞をキュレットにて処理します。侵襲が少ないことから治癒期間も短く瘢痕が生じない点が大きな利点と考えられます。さらに過動上口唇に対する口唇移動術も学びました。この術式は術前に仮縫いにて可逆的に結果を確認できる点が大きなメリットです。これらの術式は当院でも積極的に取り入れていきます。
今後も当院のスタッフは外に目を向け、常に研鑽を積み、地域の皆様により貢献できる歯科医療人となれるよう努めていきます。何卒宜しくお願いします。
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